湿潤治療とは
「湿潤治療」とは、すり傷、切り傷、軽度のやけどを消毒して傷を乾燥させ、かさぶたを作って治す治療とは違い、傷口を水で洗い流し、創傷被覆材で、傷口をしっかりと覆う治療です。
従来の治療では、再生が遅く、消毒液で元気な皮膚までも傷めていました。
「湿潤治療」は傷口から出てくる滲出液を封じ込め、湿った状態出で治す治療です。
従来の治療より、治りも早く綺麗に皮膚が再生されます。
ヤケドになって他の病院を受診してもなかなか良くならずお困りの方
今かかっている病院では消毒液で消毒してから網状になったシートを貼って、茶色や青色をした軟膏や抗生物質が入った軟膏をベットリと塗られてからガーゼをあてる処置をされていませんか?
そして次の受診時には完全に乾いて傷にくっついてしまったガーゼを無理やりはがされて出血はするし、痛いし、さらにまた消毒されて痛くてしょうがないという事はないですか?
実は私も以前はこのような治療を行っていました.以前は湿潤治療という考えがなかったため(知識がなかった)、多くの医師がこのような治療を行っていました。
現在でも当院に来られる患者さんたちの多くがそれまでかかっていた医療機関でこのような治療を行われて痛いし治らないし、おまけに感染を起こしてしまい困ってから自分でインターネットを利用して湿潤療法を初めて知り、ようやく当院を受診される方が多くいらっしゃいます。
やけど治療,傷の治療の鉄則は・・・
1)消毒は一切必要なし(最近は外科手術後の傷にも消毒は一切しません)
2)感染兆候(傷の周りが赤くはれ上がっているなど)が無ければ抗生物質を飲んだり塗ったりする必要はなし
3)傷に直接ガーゼをあててはいけない
4)やけどでできた水泡はすぐにつぶす必要はなし(そのうち勝手につぶれます。つぶれてから切り取る必要があります)
そして
5)絶対乾かしてはいけない
但しやけどは非常に感染に対して弱い状態ですから、感染を起こすと蜂窩織炎(ほうかしきえん)という状態になります。
こうなったら逆に内服や点滴の抗生物質が必要となります。
湿潤療法をしている間は単純な処置しかしないし少し匂いも気になることが多いので、このままでいいのだろうか?と疑問に思う方もいらっしゃいます。頑張って説明をしますが、それでも稀に途中で他院へ行かれる方もいます。
しかしこの治療では今まで植皮が必要といわれていた3度のやけどでも治ります。
当院では開院以来熱傷や外傷で湿潤療法を行っていますが他院で感染などを起こしてひどくなった状態で来られる方でも、時間は余計にかかりますが治癒するケースがほとんどです。但し感染を起こしてしまったり、3度熱傷や2度の熱傷でもやけどが深いケースでは跡が残ったり、外科的治療(植皮)が必要になる場合もありますので詳しくは受診時にお尋ねください。
小さな子供では私もビックリするぐらい早くきれいに治ってしまいます。
ご両親もビックリして喜んでくれます。 是非今かかっている担当医に相談してみてください。
でもなかなかうまくいかない場合はお近くの方は当院に相談してみてください。また当院以外でも湿潤療法を行っている病院はありますから、 お近くの病院を探して是非受診してみてください。
湿潤治療のメリット
- 痛くない
- 治癒が早い
- 傷跡が目立たない